Written By: 遠野秋彦
キネ子のキネマ館は閑古鳥が鳴いていた。
暇なのでキネ子は猫を拾ってきた。
猫はスクリーンでいつも寝ていた。
だが、しばらくするとキネマ館に急に客が入り始めた。
「猫は招き猫だったのか!」
キネ子は喜んだ。
しかし、ある日映写機が故障した。
スクリーンは真っ白。
でも客は帰らない。
「今日はもう上映できないのに、どうして……」
「俺達猫を見に来たから」
猫がにゃあと鳴いた。
(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)